令和2年10月16日…菜々は京都のお寺に納骨される。
少し前から、ゴンチは菜々のお骨を入れるため、白い綿の袋を手縫いで仕立てていた。
一針一針を丁寧に通して
白装束のようなお骨袋が完成した
最終的な納骨は、この袋に入れて行うようだ。
先週の日曜日、庭で菜々のお骨を骨壺から出して、お骨袋に移し替える作業を行った。
新聞紙を広げて、ゴンチとぷあくんは、骨壺から菜々のお骨をひとつひとつ取り出し、形がしっかりしたものを取り上げては、どこの部分かを当てっこした。
「これは大腿骨だよね」
「これは背骨だね」
「ん~…、これって爪だよね?」
「爪って、焼け残るんだね~」
「これは…あ、指の骨だよ!」
指の骨は面白いくらいたくさん出て来て、しかもマンガに描かれるような「骨」だった。
大きさは指先に乗るくらいなのに、両端がキレイな3の形で…それが次々発見されるのだ。
ゴンチとぷあくんは、互いに菜々を見せ合っては…笑った。
菜々はもういないのに、まだ新しい感動をもたらしてくれるなんて…まるで生きてそこにいるように感じた。
あたしゃ、いますとも...ここに
ゴンチは、菜々お骨の一部を引き離すことはしない…と決めていた。
お骨を形見として手元に置いてしまうと、カラダの一部が欠けてしまって、向こうに行った時に困るから…と。
ただ、爪ならまた生えてくるから、形見としてここに残してもいいよ…と言った。
そして、自分は菜々の遺髪(毛)を残しているから大丈夫…と、付け加えた。
ぷあくんの部屋には…菜々だけに7つの爪が残ることになった。
ペンダントに入れた菜々の形見...
ずっと一緒だよ…
菜々は、これからもゴンチとぷあくんの傍にいる。
形がしっかりしたものから順番にお骨袋に入れてゆき、最後にゴンチが菜々の頭骨を納めた。
しっかり紐を縛って…
再び骨壺に収める
一時期は、ぷあくんがオヤツを与え過ぎたせいで、なんとも8kg超まで太ってしまった菜々が…こんな小さな壺に収まってしまった。
命とは、あっけないものだ…
あとは京都のお寺に連れて行くだけである。
49日の法要とはよくしたもので、葬儀から一月半が経過して、菜々のいない日常が普通になってきている。
良くも…悪くも…
もっと落ち着きを取り戻した頃に…89(パグ)日の法要を面白おかしく出来たなら、菜々も喜んでくれるかな…などと、他愛のないことを、ふと思った。